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漫画の感想とか

主に漫画やアニメの感想を書いています。ジャンルは様々で基本的に何でもウェルカム!

「バガボンド」と「ヴィンランド・サガ」の共通点

※以下、ネタバレあり

 

①主人公が「二刀流」

 まずは、『バガボンド』の主人公である宮本武蔵ですが、彼は二刀流の使い手だったことでも有名です。その二刀流の原点は、単行本13巻に収録されている、鎖鎌の使い手・宍戸梅軒との戦いにあります。この鎖鎌という武器がなかなか厄介で、変幻自在に間合いを変える鎖に、さしもの武蔵も苦しめられます。日本刀と鎖鎌。攻めと攻めならば先は間違いなく向こうにある。そこで、先を制し次の先をとるために、武蔵は攻めと守りを同時に兼ね備えた十手術をヒントとして二刀流を編み出すのでした。

 一方、『ヴィンランド・サガ』の主人公であるトルフィンですが、彼もまた短剣の二刀流の使い手。(しかも逆手持ち)。第22話では、二刀流の極意である「十字留め」も披露しています。

 

②変な「僧侶」が出てくる

 『バガボンド』の沢庵和尚と、『ヴィンランド・サガ』のヴィリバルド神父。ふたりともなかなか癖の強いキャラクターで、沢庵和尚はなんかサイコパスみたいで怖いし、神父もお酒が切れると発狂し始めるようなアル中患者です。そんなふたりに共通しているのは、「常に真理を追及している」点ではないでしょうか。沢庵は「人」の答えを、神父は「愛」とは何かを求めて、ついに悟りを開きます。

 

それぞれの 生きる道は 天によって 完璧に決められていて

それでいて 完全に自由だ

根っこのところを 天に預けている限りは―

(『バガボンド』#257 矛盾) 

 

クヌート「……愛の本質が…死だというのか」

ヴィリバルド「はい」

クヌート「……ならば親が子を…夫婦が互いを ラグナルが私を大切に思う気持ちは一体なんだ?」

ヴィリバルド「差別です 王にへつらい 奴隷に鞭打つことと たいして かわりません」

(『ヴィンランド・サガ』第37話 愛の定義)

 

③「無刀」こそ最強

 両者とも普通にバトル漫画かと思いきや、実はかなりの哲学漫画。それぞれの漫画で「本当の強さ」とは何かについて触れているのですが、究極まで突き詰めていくと、なんと一周回って「無刀」に行き着いてしまうみたいなのです。それぞれ、作中での最強(と思われる)キャラ達は次のように言っています。

 

 上泉伊勢守秀綱「我が剣は天地とひとつ 故に剣は無くともよいのです」

(『バガボンド』#68 無刀)

 

トールズ「本当の剣士には剣など要らぬ」

(『ヴィンランド・サガ』第15話 本当の戦士)

 

これはね…わかる。

ロバート秋山がクリエーターズファイルでそんな感じのこと言ってた。

 

f:id:tafumayo:20170109232849p:plain

https://www.youtube.com/watch?v=P3UsiJ0sQfk

 

④「母乳」で困る

 『バガボンド』の小次郎編が結構好きなんですけど、「鐘巻自斎」っていう、人生に絶望した感じの無気力なおじさんが出てくるんですね。この鐘巻自斎という剣だけに生きてきたような不器用な人間が、他人の赤ん坊(小次郎)を育てることで、自らも一緒に成長していくみたいなお話です。子育てなんてしたこともない自斎でしたが、慣れないながらも一生懸命に、抱っこしたり、おしめを代えたり、がんばって育てようとします。ですが、赤ちゃんが飲む「母乳」だけはどうにもなりません。困った自斎は、他人の家に母乳を貰いに赴きます。人と交わらずにずっと孤独の中で生きてきた自斎という人間が、初めて誰かのために一歩踏み出した瞬間です。

 そして「母乳」で困っていたのは、自斎だけではありません。トルフィンも戦場で拾った赤ん坊・カルリに与えるミルクの確保に苦戦していました。悩んだトルフィンは、女の子という理由から、グズリーズに母乳を絞ってくれるように頼みます。もちろん、性経験すらないグズリーズにお乳が出せるわけがないのですが、トルフィンは「そこをなんとか」と言って大真面目に頼み込みます。性知識が小学生レベル(笑)。

 その後、一旦は里親にカルリを引き渡すのですが、結局グズリーズが引き取りに戻ってしまうのでした。ここらへんも鐘巻自斎と似ていますね。

 

⑤主人公が「童貞」

 さて、勘の良い人なら既にお気付きかもしれませんが、母乳を気合で出させようとするトルフィンくん。おそらく童貞です。ですが、それもそのはず。ずっと父親の仇であるアシェラッドを殺すことだけを目的に生きてきたのですから、当然と言えば当然なのかもしれません。

 武蔵に関しては、原作である吉川英治の『宮本武蔵』の方で明確に、童貞と書かれていたはず…。ある意味、無刀。

 

⑥唐突な「ネタバレ」

 次に説明するのが、多くの読者を憤死させたことでも有名な、2005年の「清十郎散る!!」事件と、2009年の「アシェラッド死す」事件です。

 

(1)「清十郎散る!!」事件(2005年)

 吉岡清十郎と言えば、あの名門吉岡の当主であり、初期の方から登場するなかなかの強敵。武蔵のおでこにある傷も彼に付けられたものです。そんな因縁の対決とも言える戦いが、ついに始まると思えた矢先、事件は起こるのでした。

 

清十郎散る!!恐るべき剣の天才は倒した。だが吉岡一門との戦いは激しさを増し、刺客が次々と武蔵に襲いかかる!!

(『バガボンド』21巻予告)

 

一行で倒しちゃったよ!

 

(2)「アシェラッド死す」事件(2009年)

 こっちは、帯でネタバレしてきます。ほぼ無差別テロ。

 

アシェラッド、死す。剣一閃、新たな王道を開く。そして物語は新章へ!!

(『ヴィンランド・サガ』単行本8巻帯) 

 

⑦「農業」を始める

 人を斬って斬って斬って斬りまくった者が行き着く先…。それは地獄か?はたまたヴァルハラか?

 

答えは「農業」です。

 

 武蔵は吉岡一門70人斬りの後に「稲」を、トルフィンはアシェラッド死亡後に「麦」を、それぞれ育て始めます。この農業編が結構本格的で、特に『バガボンド』に関しては賛否両論だったりしますが、何か悟りを得るためには「農業」は避けては通れない道なんじゃないかと思います。

だって、エヴァの加持さんもスイカ育てながら「何かを作ったり何かを育てるってのはいいぞ。色んなことが見えてくるし、わかってくる。」って言ってたし。何かを極めし者が行き着く先は、必然的に「農業」なんだと思います。

 

 

 以上、「バガボンド」と「ヴィンランド・サガ」の共通点7つでした。つまり、ですよ?

 

もしかしてだけど~もしかしてだけど~「主人公が童貞の二刀流と、変な僧侶が剣の代わりに鍬を持って母乳を探して死す系の漫画」を描けば売れるんじゃないの~? 

 

そういうことだろ?