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漫画の感想とか

主に漫画やアニメの感想を書いています。ジャンルは様々で基本的に何でもウェルカム!

「orange」感想

青春SFラブストーリー?はいはい。どうせイケイケリア充たちがイチャイチャキャッキャするだけの「コミュ症☆ブサイク乙☆雄一郎マンガ」でしょ。はいはいキックキック―。ブサイク砲ブサイク砲ー。

 

とは、とてもじゃないがならない漫画だった。

 

orange(1) (アクションコミックス)

orange(1) (アクションコミックス)

 

「自殺したい」と言う人に対して何と言葉をかけたらいいのか

 

非常に悩む。 

 

遺された人たちが悲しむよ? もっと自分の命を大切にして? 生きてれば良いことあるって?

 

どれもその通りなのかもしれないが、本気で死を覚悟するくらい追い詰められている人に対してそのような言葉を使うのは、逆に不誠実な気がしてしまう。

 

たぶんこの問いに対する絶対の正解というものは無い。ただ、自分にとって忘れられない回答が1つある。それは、大学の授業で臨床心理士の教授が言っていた「何も言わない。というか言えない。」という回答である。コミュニケーションのプロとも言える臨床心理士が「何も言えない」と言っていたのである。これは、どんな鮮やかな回答が聞けるのかと期待していた当時の自分にとっては、かなりの衝撃であった。

 

例えば、カウンセリングの基本技法としてよく「共感」が用いられるが、「自殺したい」という言葉に対して「うんうんそうだよね」と言ってしまうのは良くない。本気で死にたいと思っている人間からしたら「お前本当に解ってんのか?」となるのが自然な感情である。かといって「自殺はいけない」と否定してしまうのも、ただのカウンセラー側の価値観の押し付けにしか過ぎず、これもまた良くない。だから、相手のことを考えれば考えるほど、本当に何も言えなくなるのである。 

 

では、黙って自殺を見過ごすのか?もちろんそういうわけではない。

 

話は少しずれてしまうかもしれないが、その教授は、子どもを虐待する親に対してどうしても嫌悪感を持ってしまうというと言っていた(もちろんカウンセリングの際は表に出さないが)。カウンセラーも人間である以上、このような感情を持つのは仕方がないことである。ただし、虐待という行為そのものに共感することはできなくても、なぜそのような気持ちを持つに至ったか、そのプロセスを理解しようとすることは可能だという。例えば、「自分自身も小さい頃から親に虐待を受けていた。だから虐待が悪いことだと分かっていてもそれ以外の方法がわからなかった。」という風に、虐待をしてしまう親の思考回路の方を理解しようとすることは可能だというのである。

 

自殺の場合も同様のことが言えると思う。「死にたい」という気持ちに無理に共感しようとする必要はない。所詮その人の苦しみはその人にしか解らないのである。だから、「自殺したい」→「辛いですよね」ではなく、「自殺したい」→「あなたにとってはそのくらい辛いんですね」という風に、ただの「共感」ではなく「共感的理解」の姿勢を示していくのが一番誠実な方法なんじゃないかと思う。もちろん相手との関係性にもよるとは思うが。

 

「死にたい」と言っている人と向き合うのは、正直怖いことである。話を聞いたところで、重すぎて何を言ったら良いのか分からないし、自分の一言で相手をさらに傷付けてしまう可能性もあるかもしれない。でも、何も言えないということは決して悪いことではない。そのときに向き合えなかったことを一生後悔するよりも、何も言えなくてもいいから、まずは理解しようという姿勢を示していくことが大切だと思う。

 

その上での「生きててほしい」なら、たとえエゴでも伝える意味はあるんじゃないかと、自分は思った。