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「花さか天使テンテンくん」感想

コッチンコッチンコッチン♪

 

花さか天使テンテンくん (1) (ジャンプ・コミックス)

花さか天使テンテンくん (1) (ジャンプ・コミックス)

 

※以下ネタバレあり

 

テンテンくんはただのクズではない

①第75話「看病天使!?テンテンくんの巻」

 テンテンくんといえば、人のお金をパクるわ、赤ちゃん相手にパロスペシャルをかけるわ、ポテチの残りカスを押し付けてくるわで、「ジャンプ・クズ主人公選手権」があったらメダルは確実なんじゃないかと有望視されるくらいには期待のクズ主人公です。しかし、この第75話のエピソードを読んでから、私の中でテンテンくんはただのクズではないんじゃないかという考えが浮かぶようになりました。

 この話では、風邪を引いてしまったヒデユキママの看病を、ヒデユキに代わってテンテンくんが引き受けます。普段はサイダネ探しヤル気ゼロ、人の迷惑なんてお構いなし、傍若無人のやりたい放題なテンテンくんが、初めて他の人のために何かしてあげようと自分から行動を起こすのです。

 ところが、テンテンくんのヤル気とは裏腹に、任される仕事はことごとく失敗。冷蔵庫にアイスノンを取りに行ったはずが、なぜかお菓子屋でアイスを食べていたり、お遣いを頼まれたはずのお金で偽物のゲームを買わされていたり…。本人は一生懸命やっているつもりなのに、なぜかいつも失敗ばかりが続きます。これには、さすがのテンテンくんも自己嫌悪。

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 普通に読めば、ただのギャグ漫画的ボケなんでしょうが、私は素直にこれが笑えませんでした。上手くは言えないんですけど、この「本人は一生懸命にやっているのに上手くできない」感じが、何となく発達障害っぽいなという感じがするんです。専門的な知識があるわけではないし、間違った理解をしているかもしれないんですが、テンテンくんが、他人の会話やゲームに割り込んだり、忘れ物や紛失が多かったり、気が散りやすかったりするのは、発達障害(特にADHD)の特徴に当てはまる気がします。自分も発達障害と診断されたわけではないですが、空気が読めないコミュ障ですし、忘れ物もミスも多いですし、説明するのが苦手ですし、引かれるくらい自尊心が低いですし、というかそのせいで実際生活に支障をきたしていますし、どうも他人事とは思えない気がするのです。

 

※決して「発達障害=クズ」と言いたいわけではありません。あくまで、この話で発達障害の特徴と重なると感じた部分があっただけで、テンテンくんの行動全てを発達障害のせいにしたいわけではありません。

 

②第137話「不思議のモモちゃんの巻」

 もうひとつ、テンテンくんとはまた違ったタイプの発達障害の子をモデルにしているのではないかと思われるお話を。新しくやってきた転入生の夢木モモコちゃんは、とにかく変わった女の子です。

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 見た目やしゃべり方もそうですが、授業中に突然口笛を吹いたり、空をボーッと眺めたり、下唇をかみしめてすごい勢いでダッシュしたり、何かと変わった行動が目立つ、いわゆる「不思議ちゃん」です。次第に、クラスメイトもモモちゃんのことを避け始め、モモちゃんはクラスで浮いた存在になるように…。

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 そんな中、クラスの中心的存在である菊崎くんの一言で事態は急変します。どこのグループにも入れてもらえないモモちゃんを見かねた菊崎くんは「夢木のことも一緒に入れてやれよ!」とクラスメイトに呼びかけます。ざわざわする教室の中、モモちゃんはずっと言えなかった本音を語り始めます。

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 だからこそ、モモちゃんはこの学校では友達を作りたかったのです。モモちゃんも自分なりにクラスメイトに話しかけてみたりするのですが、何故かみんなのように上手くいかない。(ヒデユキとの会話で唐突に出てきた「サバ」の話も、何の脈絡も無いように見えますが、モモちゃん的には「サバ=好きなもの=好きなものの話をすれば仲良くなれる」という思考回路が働いたためではないでしょうか。)

 モモちゃんは言います。「モモちゃんみたいな“変な子”みんな嫌いでしょ?」

 

③第159話「桜くんの宝物の巻」~第160話「運命の夜の巻」

 ダメダメなテンテンくんや不器用なモモちゃんが、それでも楽しくのびのびと生きていける理由。それは「漫画だから」というのはもちろんですが、やっぱり周囲の人に恵まれているというのが大きな要因だと思います。

 第159話で、テンテンくんがヒデユキの大事にしていたおもちゃを壊したときは、さすがのヒデユキもテンテンくんに激怒しました。ですがその後、ヒデユキは「注意すればするほどテンテンくんがやる性格だってことぐらい、ボクだって知ってたハズだ」(第160話)と自らの行いを反省しています。普通なら「テンテンくんクズだな」の一言で済みそうな場面ですが、ヒデユキはテンテンくんができなかったことを責めるのではなく「どうすれば上手くいっていないこの現状(悪循環)を変えることができるか」という風に、非常にシステミックな考え方で物事を捉えています。テンテンくんやモモちゃんが、二次障害を引き起こさずにみんなと仲良く過ごせているのも、(元々の本人の性格も影響しているのでしょうが)ヒデユキのような理解者の存在が大きいのかもしれないと思いました。