漫画の感想とか

主に漫画やアニメの感想を書いています。ジャンルは様々で基本的に何でもウェルカム!

「おやすみプンプン」感想

正統派の漫画ではなく、何と言うかヴィレバンに置いていそうな感じ。というか実際に置いている。

 

よく有名な鬱漫画として挙げられる『ミスミソウ』が「非日常的」な鬱漫画だとしたら、『おやすみプンプン』はもっと「日常的」な鬱漫画。じわじわと心の内側を抉られるような読後感があります。

 

おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)

おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)

 

主人公の見た目が人じゃない、しゃべらない

主人公であるプンプンの見た目といえば、ヒヨコのような落書き。血縁者もヒヨコのような落書き。あえてプンプンの外見を想像する余地を与えないことで、読者が無意識のうちに見た目によって影響を受けることを防いでいます。いい意味でキャラクターの没個性化を促すことにより、読者も感情移入しやすく、漫画の中のお話というよりは身近な物語に感じさせるような仕掛けになっています。また、プンプンのセリフや気持ちは作文調で語られることが多く、吹き出しでしゃべることはありません。斬新な漫画です。

 

哲学漫画 

人間の見たくない部分をあえて突きつけてきます。理不尽、偽善、矛盾、不条理…。気にしなければそれなりに楽しく生きていけるものを、わざわざ引っ張り出してきて、悩んで、傷ついて、勝手に絶望する。非常に非生産的であり、自己完結的。いわゆるオナニー漫画と呼ばれる所以です。しかし無論、そんなことは作者自身も十分自覚したうえで、この作品を描いています。そのことがよく表れているのが、第91話でサチとプンプンが編集社に漫画を持ち込みするシーン。サチの言った「意味があれば他人のオナニーだって見たい」という言葉には、この漫画の位置づけというか、作者がこの漫画を描く理由の一端が表れていると思います。現実逃避のための漫画ではなく、現実に向き合うための漫画。

 

意味が分からない

「ペガサス合奏団」とか「コスモさん」とか「黒点」とか意味が分からないです。そもそも意味なんてないのかもしれませんが、何かそこに意味を見い出したくなるくらい、表現力に富んだ漫画。色使いとか、コマ割りとか、写真を使った描写とか、漫画というより、もはや芸術の域に近いものを感じます。表現の鬼。まあ、自分自身が美術館とか博物館に行っても「すごいなー」くらいの感想しか浮かんでこない感受性の低さなので、この作品を十分に理解できたかといえば、できていないと断言できますが。考察のしがいはある漫画だと思います。

 

 

↓プンプン10巻と同時発売された「おざなり君」。こちらも意味がわからない。色んな問題を提起されている気もするし、しない気もする。主な登場人物は、やぶさか部長(45)と、おざなり君(28)の二人です。だいたい「部長がおざなり君に暴力を振るわれてキュン…」ってしています。同じように上司と部下のやり取りを描く作品でも「サラリーマン山崎シゲル」は健全なシュール漫画って感じがしますが、「おざなり君」は何か…やばいです。狂気を感じる。でも、ストーリーとしてはちゃんと成り立っているのでやっぱりすごいと思います。

おざなり君

おざなり君