漫画の感想とか

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「ドラゴンヘッド」感想

20世紀最後に放たれた、恐怖の大巨編「世紀末サバイバル」!! 修学旅行帰りの新幹線は、突然のトンネル落盤事故によってすべての光を失った……!! 闇につつまれ、血みどろになった凄惨な“墓所”。生存者はテル、アコ、ノブオ、3名のみ。ほか全員、即死……。酸素も食料も出口すらも断たれた少年たちは、次第に壊れゆく「心」と闘いながら、動きはじめる。たったひとつの“希望”――「東京に、家族のもとに帰ること」を、生き延びるための支えとして……!!!!

ドラゴンヘッド(1) (ヤンマガKCスペシャル)

ドラゴンヘッド(1) (ヤンマガKCスペシャル)

 

 
…というのがこの漫画のあらすじなんですが、読んでるだけですごくゾクゾクしてきませんか!?
現実にはほぼあり得ない、けれど心の何処かで少し恐れていること。漫画だからこそ、自分だったらどうするかということを考えながらワクワクして読める。誰もが一度は妄想したことがあるであろう、「学校にテロリスト」や「エレベーターから脱出」などもその類いなのではないでしょうか。


そういう意味で掴みは抜群。期待の出来る作品だったんですが…作者が描きたかったテーマは「究極の恐怖」。したがって、最後に謎が解明されるものだと思って読むと、ちょっと残念な思いをするかも。

 

※以下ネタバレあり

 

ここで、作者の描きたかった「究極の恐怖」ですが、作者の描く恐怖はとても哲学的な恐怖です。
そもそも恐怖とは何か?その源は?存在意義は?人間が作り出した想像の産物が恐怖であるのならば、果たして恐怖を感じなくなった人間は人間と言えるのか?
暗闇という媒体を使って、作者は恐怖の正体を実に上手く表現しています。

 

しかし!私は、もっと生々しい「人間的な恐怖」を読みたかった!
どちらかというと、恐怖によって生み出される人間の闇の部分を読みたかったです。そのためか、所々心理描写に共感できない部分があり、もったいないなという印象でした。
正直、ノブオに同情する余地は無かったと思います。ノブオは最初から最後まで嫌なやつだったし、まだ希望がある状況で勝手に狂った。協力的な人達(アコに関しては自分より弱い存在であることを自覚している)に囲まれながらも、なぜ自分から破滅の道を選んだのか。もっと卑しく生き残ってくれた方が、人間らしかった気がする。テルやアコは、ノブオが死んだことを後悔していましたが、あんな風な極限状態であれば、ノブオが死んだのは仕方がないことだと思う、あるいはそう思い込もうとするのが人間だと思います。せめて少しでもノブオの善人らしさが描けていれば、テル達の葛藤も生きてきたのではないかと感じました。
仁村についても、そんなに死にたくないなら、なぜヘリで国外へ逃げようとしないのか疑問でした。

 

でもやっぱり、ノブオや傷頭、ガスマスクの人など、恐怖を煽る設定には思わず惹きつけらてしまうので、余計にリアリティーの薄さだけが残念でした。

f:id:tafumayo:20150611093225j:plain(2巻・第12話)